網膜裂孔とは、目の奥にある網膜の一部が裂けたり、穴が空いたりした状態のことです。
放置すると網膜剥離に進行するため、発見次第治療を受けることが大切です。
先日二回目の網膜裂孔が見つかり、レーザー手術(網膜光凝固術)を受けましたので、一回目の時と合わせ、経緯と体験談をお届けします。
網膜光凝固術体験談
カエルの卵?飛蚊症で異常に気付く
最初に目に異常を感じたのは晴天の昼間でした。
自転車に乗っていた時のことです。
左目の視界の右側に「カエルの卵」のようなものが突然現れました。
私はメガネをかけていますので、最初はメガネにインクのような汚れが付いたのかと思いました。
メガネを外して汚れを拭こうとしたのですが、「カエルの卵」のようなものがメガネを外してもそのまま視界に残っています。
この時にはじめて目の異常に気付き、理由がわからないため少し怖くなりました。
「カエルの卵」のような、「黒インクが飛び散ったようなもの」が左目の視界1/3近くを覆っています。
それとは別にたくさんの「透明なミミズのような、糸の切れ端のようなもの」が視界を浮遊しています(これらを飛蚊症と言うことは後で知りました)。
その時は飛蚊症や網膜裂孔の知識はありませんでしたので、目に異物が入ってしまったか、結膜炎等の目の病気かと思っていました。
幸い昼間でしたし、時間もありました。
近所にある有名な眼科に電話して事情を話し、診察を受けることができました。
近所の眼科で眼底検査を受ける
有名な眼科でしたので混雑していましたが、電話した旨を受付で話すとすぐに診察を受けることができました。
その時検査していただいた先生に、
「網膜に大きめの穴が空いていて、レーザーでぎりぎり治療できるかできないかの状態」
と診断されました。
この時点では網膜裂孔や網膜剥離の恐ろしさを知らなかったので、レーザー治療をできなければ大変な手術になることも知りません。
専門医が不在のためそこではレーザー手術(網膜光凝固術)ができなかったため、大学病院への紹介状をいただきました。
「放置すると確実に失明する病気なので、できるだけ早く行ったほうがいい」
とのこと。
カルテには「緊急」のハンコ
翌日、不安な気持ちのまま大学病院へ。
紹介状を提出し受付を済ませると、ファイルを渡され眼科へ案内されました。
ファイルに入ったカルテと思われる書類には、赤いインクで「緊急」と判が押されていました。
今だからわかることですが、網膜剥離や網膜裂孔の治療は一刻を争うことが多いため、その疑いがある患者は最優先で診察してもらえるようです。
この日も他にたくさんの患者さんがいましたが、明らかに優先されていると感じたため、逆に不安に感じたと記憶しています。
細かい診察内容や順番はあまり覚えていないのですが、瞳孔を開く目薬を点眼し、効果が出るまで30分ほど待ってから診察した記憶があります。
眼底検査という、目の奥にある網膜の診察には、瞳孔を開く必要があるようです。
眼底の写真を見ながら以下のような説明を受けました。
- 左目の網膜に穴が空いていて、放置すると網膜剥離・失明につながること。
- 近視の人はなりやすいが、はっきりと原因を特定することは難しく、加齢による老化現象の一つと考えたほうがいいこと。
- レーザーで進行を食い止める治療を試みるが、うまくいかなければ入院・手術になること。
- レーザー手術(網膜光凝固術)には5万円ほどかかるが、うまくいかなければ料金は発生しないこと。
「急なことで驚いているところ申し訳ないが……」
と丁寧に前置きされた上で、この場でレーザー手術(網膜光凝固術)を受けるかどうか、同意を求められました。
もちろんすぐに同意をして治療を受ける選択をしました。
レーザー手術(網膜光凝固術)
別の部屋へ移動し、レーザー手術(網膜光凝固術)を受けます。
麻酔用の目薬を点眼され、テーブルの高さを調整し、マジックテープのようなもので額を固定されました。
先生は正面に座り、先端がコンタクトレンズ状になっている器具を持っています。
このレンズを目に押し当てて、そこを通してレーザーを照射するようでした。
レンズを眼球に直接押し付けられますが、痛みは特に感じませんでした。
治療中は非常に眩しく、バチンバチンと断続的にレーザーを照射する度に、視界が緑色に光りました。
照射中に視線を動かしてしまうと、とてもまずいことになりそうな気がして、治療中はとても緊張しました。
両手は体がブレないように、テーブル上のグリップを握っています。
痛みはほとんどありませんでしたが、数発に一度ズシンという鈍痛を感じました。
全体を通して、我慢できないほどの痛みではありませんでした。
幸いレーザー手術(網膜光凝固術)は成功し、結果は良好。
網膜に空いた穴の周りを囲むようにレーザーを何発も打ち、穴がそれ以上拡がらないように焼き固めることができたそうです。
治療は5~15分ほどで終了しました。
視界が欠けたり、飛蚊症がひどくなったりした場合には、すぐに来院するように注意を受け帰宅しました。
経過観察が必要なこと以外は、特に日常生活に制限はありませんでした。
目が開けられないほど眩しくて辛い帰り道
検査と手術のため瞳孔を開く目薬をしていましたが、効果がなくなるまでかなり時間がかかります。
そのため帰り道はあまりにも眩しくてとても辛い思いをしました。
術後の痛みも感じていたため、麻酔は切れていたのかもしれません。
手術自体よりも帰宅するほうがはるかに大変でした。
晴天の屋外では目を開けていられないほど眩しいので、それ以来眼底検査の際は必ずサングラスを持参し、徒歩と電車で通院しています。
もちろん車、自転車、バイクなどの運転はとても危険なため厳禁です。
手術後の飛蚊症
手術は成功しましたが、「カエルの卵」のようなものと、「透明なミミズのような糸状の浮遊物」は相変わらず視界に残っています。
非常に鬱陶しく、一生このままなのかと思うととても憂鬱になりました。
先生に尋ねたところ、飛蚊症が完全に消える事は無いとのこと。
ただ、時間がたてばある程度慣れ、人によってはそれほど気にならないようになるとも言われました。
私の場合半年ほどでそれほど気にならないレベルにまで落ち着きましたが、やはり無くなることはありません(ただし「カエルの卵」のようなものは見えなくなりました)。
現在は「飛蚊症がひどくなっていないか」、「視野が欠けていないか」、意識して確認することが習慣となりました。
経過観察
経過を観察するため1ヶ月、3ヶ月、半年と、間隔は少しずつ長くなりましたが、定期的に検査を受けています。
「左目に網膜裂孔ができたということは、いつ右目に同様のことが起きてもおかしくない。」
と予め先生に言われていました。
特に、急に飛蚊症がひどくなったと感じたり、視野が欠けたりしたときは、すぐに来院するように言われていました。
今度は右目に
手術から3年以上が経ちましたが、先生に説明されていた通り、今度は右目に網膜裂孔が見つかりました。
今回は自覚症状が無く、たまたま定期検査で見つかったことは不幸中の幸い。
自覚症状がほとんど無いのにも関わらず網膜裂孔が見つかったので、定期検査は今後もずっと続けたほうが良さそうです。
同じ先生ですので、今回は日を改めずにそのままレーザー手術(網膜光凝固術)を受けることができました。
このときは網膜剥離の恐ろしさを知っていましたので、早く見つかって良かったという感情で手術の不安は感じませんでした。
定期検査時はサングラスを持参しているので、帰り道も眩しくありません。
痛みも前回より少なかったので、サングラスの効果は大きいと感じました。
手術費用について
レーザー手術(網膜光凝固術)の治療費は、症状の程度によって幅があるようです。
私の場合は1回目が5万円程、2回目は3万5千円程だったと記憶しています。
両方とも加入している生命保険で賄うことができました。
手術後に注意していること
「飛蚊症がひどくなっていないか」、「視野が欠けていないか」、意識して片目ずつ確認することが習慣となりました。
このような症状が出たら、何事にも優先して眼科に行くつもりでいます。
また、目が痒くてこすったりすると、網膜に負担がかかるそうなので、処方していただいたアレルギー用の目薬を使うようにして、なるべく目をこすらないように注意しています。
日中屋外に出るときは、紫外線を避けるために、できるだけサングラスを使用しています。
まとめ 目に異常を感じたら
目に何らかの異常を感じたら、すぐに眼科へ行くことをおすすめします。
私の場合はすぐに眼科へ行ける状況でしたが、ここまで怖い病気だということは想像できませんでした。
理由がわからなくてちょっと怖いし、時間も有るから念のため早めに眼科に言っておこうかぐらいの気持ちだったと思います。
もし仕事が忙しい状態であったり、たまたま大事な約束があったりしたら、眼科に行くことを後回しにしてしまったかもしれません。
目に異常を感じていたり、特に急な飛蚊症が気になったりしてこの記事にたどりついた方は、後回しにせずすぐに眼科で診察を受けることをおすすめします。